真夜中のパン工場
息子の中学校はお弁当持参ですが、
パンを買ったり、お弁当を買ったりもできます。
油と砂糖でギトギトの菓子パンは・・・
私としては避けたいところですが、
友達が食べていると、無性に食べたくなるみたいです。
そのパンを作っている工場が近くにあり、
工場の前を通るたび、思い出すことがあります。
離婚して、赤ちゃんだった息子を連れて出戻ったばかりの頃、
『これからどうしよう・・・何ができるんだろう・・・』
と不安でいっぱいだった私は、
いてもたってもいられず
新聞のチラシで、一週間くらいの短期のアルバイトを見つけました。
パン工場でクリスマスケーキの配送の仕分けみたいな仕事でした。
時間は深夜。
よく寝る赤ちゃんだった息子の、ちょうど熟睡タイムでした。
短期だからと、なんとか親にお願いして、アルバイトに行きました。
クリスマス前の12月、何枚も厚着をして、夜から出勤しました。
他のメンバーはほとんど主婦の人でしたが、
一人だけ30歳前後の独身の女性がいました。
その女性と休憩時間に話をするようになって、
「数年前から不倫をしている」と打ち明けられました。
今年も彼とはクリスマスを一緒に過ごせないから、
当てつけみたいにこのアルバイトを始めたそうです。
「わかっているけど、彼が優しくて別れられない」
好きな人のことを話しているのに、幸せそうには見えませんでした。
お互い、先のことが全く見えないのは一緒です。
「来年のクリスマスはどうなっているんだろうね~」
と真夜中のパン工場で、ストーブにあたりながら話しました。
「来年もここで会ったりして」
「もうクリスマスケーキはうんざりだよね」
と笑いました。
今頃彼女はどうしているのかなぁ。
名前も顔も忘れちゃったけど、
クリスマスに一緒に過ごせる人と出会えているといいな、と思います。
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2014-05-23(Fri)
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